滝 本 コ メ ン ト 28〜30


コメント30 ●  講演等の報告書 −現役さんから

-第71号-2001.5.9から

2001年3月4日 世田谷区烏山センタ−

窓口滝本の講演を聞いた現役サマナから報告書が届きました。一部加除添削することを了解してもらって転載します。まあ、カナリヤの詩なんですが、情報としては大切ですしね、よろしいでしょう。

2001年3月4日 世田谷区烏山センター
19時、女性の司会で開始。対策協議会…と書いているところで、肩を叩く人がおり、ばれたか!と思ったら、フリーライターの岩本さんで、「今日は偵察?」「いや、滝本さんに了承を取ってあるので、偵察ではないですよ(笑)」「じゃ、後で」

女性 「こんばんはー!」
2人くらい「こんばんは!」拍手。サクラかと思いました。女性の紹介で町会の自治会長がまず挨拶。

自治会長
「アレフと名前を変えて融和をしようとして、オウム事件を忘れさせようとしている。しかし、地下鉄サリン事件のときの幹部がいまだに実権を握っている。油断するわけにはいかない。危険な団体の存在を許すわけにはいかない。隣人として認めるわけにはいかない。もっと団結を深めて、いい世田谷にしていきたい。よろしく静聴をお願いします。ありがとうございます。」

世田谷区長
「昨年暮れ、オウムは進出してきた。対策協議会を設置しました。80万区民の安全を第一に考え、区は転入届不受理を行い、全庁あげてオウム対策に取り組んでいる。安心して暮らしていける町づくりは区に課せられた責任であります。住民と協力して努力していきます」−−区長、拍手の中、退席。

区議会議長が紹介される。議長「今日は各会派が来ていますが、代表として挨拶させていただきます。正直言ってわたしは隣にオウムが来たらどうしていいかわからない。その意味で、近所の人のご苦労はいかばかりか。先日江川紹子さんのホームページを見ました。やはり、集団となると何をするかわかりません。要請書の返事がオウムから返ってきましたが、それには我々は安全だと書いてあり、40億の借金を返していると書かれています。住民票は国民の権利だとも言っています。しかし、国民としての義務を果たしていないから、だめだ。オウムをやめて、区民となっていただくのがベストだ。長期戦になるだろう。結集が必要だ。」

司会、滝本弁護士の紹介に。89年坂本事件を機にオウム対策弁護団のメンバーに。襲撃された経験があり、今日はその面から語ってもらえる。現在は脱カルト研究会事務局、カナリヤの会窓口との紹介。

滝本弁護士

「オウム問題は解決せず、世田谷に来てしまったことをお詫び申し上げます。今日はオウムの歌を持ってきています。まずは、オウムを知ることが大事です。

オウムはつぶさなければなりません。オウムは1955年3月2日生まれた松本智津夫の教えでできています。しかし今いる信者は本質を知っていません。松本智津夫の破壊願望が具現化したものです。松本の思想と戦わなければなりません。

1988年9月、富士宮市人穴・・・番地の・・・(←正確に)で真島君をミラレパ君、新実君ですね。彼が水の中に沈めました。石油で焼いたのが最初です。1989年2月、この事件を知った田口君が脱走しようとしました。それをミラレパ君が殺しました。
1989年11月4日、坂本堤33歳ですね、妻さとこさん、子どもたつひこちゃん1歳を殺しました。
その後も富田君殺人事件、落田さん殺人事件がありました。サマナさえ殺せるんです。
1994年6月27日、松本サリン事件、1995年3月地下鉄サリン事件、ポーシャ君、平田君です。スマンガラ君、高橋君、まだ捕まっていない。

実行犯は全員のうちたったの4%です。50人もいません。信者さん全体で言えば0.5%です。私は1995年当時、このことを強調しました。その後の言葉はあえて言いませんでした。「しかしどの出家者も、麻原さんの指示があれば人を殺します。」です。当時、信者全員への攻撃がより酷くなり、国民からのリンチで何人かが殺されるのではないかと心配したのです。でも、絶対的に帰依しているのですから、指示があれば殺すのです。

今も立位礼拝、五体投地ですね、あれを延々とやります。「オームグルとシヴァ大神と…」「ほ−湖面に映る虚像の……(途中で忘れる)」と唱えます。蓮華座を何時間も組みます。ゴムタクというのをつけます。キムタクじゃないですけど。ふざけているんですよ、冗談みたいな名前ですけど。ゴムタクは危険です。あれをやっていると腎不全になってしまうんです。(観衆のおばさん一人がへぇー。えー?とかいちいち反応する。)

わたしの車にサリンを撒いたのも17歳のマハームドラーダーキニーです。彼女はアンモニアで練習して、実際に撒きました。17歳の女の子が撒きます。現実感がなく殺せるんです。

では、なぜ、今、殺人をしないか。

そりゃ、監視がされていることもあるでしょう、でも、松本のポアの指示がないから、殺人をしないんです。松本は神様以上の存在です。それは公判で早川が言っている。信者にとって宇宙そのものなんです。94年からキリストイニシエーションが始まります。LSDを使ったものです。あの体験は凄いようです。より深くはまってしまう。

刑期を終えてオウムに戻った人もいます。安全といえるのか?指導者の上祐は亀戸で炭疽菌を撒いた主犯格です。(ここでTVカメラが聴衆を映す。映ってしまったが、滝本弁護士に自分が入ることは了承を取ってあるので、問題はないと思われる。)上祐にインタビューをする人が何を考えているのか、私は理解できません。嘘を言うことが習性となっている人に聞いて何になるのか。彼は、偽りの言葉と体験の中で、乖離性人格障害では?(聴衆のおばさん一人:フーン。)

ヴァジラヤーナを捨てると言っているが、嘘。また、村岡さんが上祐がトップだと明言している説法テープを持っています。どういうわけか手に入ってしまうんですね。

つぶすとは?

脱会して心の中で麻原を捨てることです。オウムでは死のビデオを見せていました。その中で地獄のリアルな映像を見せるんです。わたしも見た後、はまってしまってはいけないので、中島みゆきの歌やビートルズの歌を聴いています。彼らの思想は輪廻転生から、たとえ人に迷惑をかけても、自分だけ逃れるというものです。なんてエゴイズムなのか!

ここで、オウムの歌を公開。青山弁護士の「ストップ・ザ・オウムバッシング」を会場に流す。わたしはマスコミに事件当時、このような歌を15秒以上流すなと言っていました。脱会しても戻ってしまう危険があるからです。ミイラ取りがミイラになってしまう危険性もあります。一人一人は普通の人だと言って、取り込まれてしまった人権家がいるんです。オウムはいいことをするつもりで人を殺します。

オウムはヤクザとは違います。悪意の殺人には限度がありますが、善意の殺人には限度がないんです。ヤクザは悪いことをしていると分っていてしているのです。だから限度はあります。オウムが破壊活動を始めたときは限度がないんです。

信者一人一人の心境について。

一人一人が信者でなくなることが必要なんです。全員殺したりする江戸時代のようにはいかないんです。信者の気持ちを知って欲しいと思います。「麻原」「おまえ」と言ったら頑なになるだけです。また、オウムとは暴力沙汰は避けなければいけません。信者は現世に嫌悪感を持っています。現世は幻なんです。現実感を感じていないんです。新実や土谷ら以外の実行犯は現実感が出てきました。新実が話し出したことはいいことです。グルの指示でしたと堂々と言っています。逆に、それによって、現実感を感じだした人も出てきますが。
ここで、19時42分TV局が退去。

うわべの謝罪じゃなくて、円覚寺、霞ヶ関駅へ行って見ろと言いたい。
教団にはまだ1,2割事件を認めない信者がいます。彼らは不安定です。事件を認めた上で教団に残っている人はヴァジラヤーナを認めている人たちです。封印などと言っているが嘘です。

実は、麻原が逮捕されたとき、死んで出てくるとか堂々と出てこないでよかった。あれを見てやめている人がけっこう出ました。
今は理想型の麻原彰晃を作ろうとしています。3次元ホログラムとか。一人一人の信者に現実の麻原を見せることが一番効果的なんです。

オウム信者は暴力を振るわれると喜びます。マゾヒストなんです。たとえば、「自己の苦しみを喜びとし、他の苦しみを自己の苦しみとする」聞くと一見いいように聞こえますよね。しかし、あいだを取ると、「他の苦しみを自己の喜びとする」になるんです。

信者は東大・京大・早稲田とか高学歴者が多いです。かれらは苦労していないけど、生きていることの虚しさを感じてオウムに絡め取られました。いいところのお坊ちゃんお嬢ちゃんが多いんです。シュークリームを初めて食べたときのあの感動。彼らは、あのような感動を知らずに育ったんです。

現在の特徴について。

分派について。ケロヨンクラブという分派があります。小さいがまだあります。中年女性を中心にしています。また、96年福岡騒動というのがありました(詳しく説明していたが、省略)。

マイトレーヤワールド。彼の本心はわかりません。と言って資料3枚目(2000.1.16上祐氏の本当の提案)を示す。資料の説明に入る。彼らは逃亡先も占いで決めていました。Gさんですか、ハタヨーギーさんですね。アクエリアスというのがありますが、水瓶座のことですね。ホワイトフリーメーソンとはオウムの味方のことです。今月1000万ほど補償金を払いました。被害者を守護者と呼ぶのは、補償を名目に存続の余地があること、被害者は喜んでいるだろうということからつけたと思われる。

ある正悟師は獄中からのある信者の手紙に死刑になる人は「大いなる艱難を与えられた祝福された魂」であり、被害者は「夢の中の子どもの死のようなものである」と返事をしました。現実感がありません。

立入検査は安全のアピールに使われます。大本教、創価学会、弾圧されました。これらの宗教弾圧と同じだと世論を変えていこうとしました。

しかし、彼が本当は何を考えているかわかりません。上祐は麻原経典の解説者です。ある正悟師は「毒をくらわば皿まで」とも言っています。

新しい階級制度について。

これは重要で注目すべきものです。本来は松本のみが設定できるもので、上祐の権限が強くなったことの現れでしょう。徳師、準師、仮認定だかいうのがあります。会社で仕事をするサマナ。今は専従は100人いるかいないかでしょう。他の人は仕事をしています。サラリーマンだったり、土木業をやっていたりします。お布施をするんです。食事はお供物が回ってきます。月8000円の業財がもらえます。このメリットはやめている人がけっこう出るということです。社会と接しますから。これが必要なんですね。
偽りのインターネット。オウムと言わずに勧誘してきます。4つのHPを紹介。メール交換をして誘います。メールの書式の見本まであるんです。

お願いしたいこと。

信者には話しかけて欲しい。掃除をしているのを見たら、「偉いわね。ずっとやってよ」と声をかけてあげてください。どうせやめますから、偽りですからね。かれらはゴキブリを殺さないけど、人を殺します。パンもイースト菌を使わないものにしています。でも、最近は食物は自由になっています。また、出家者で恋人がいる人がいます。出家者のくせにわかりません。最近は節操がなくなってきました。でも、放っておけば監禁するだろう。薬物も放っておけばやる。なにせ、禁断の木の実を食べたんだから。

団体規制法が観察処分の範囲にとどまってよかった。破防法が適用されなくてよかった。地下に潜ってしまうことにならなくてよかった。破産管財人はもう少しプッシュしてほしい。しかし、やらない。財産を特定できないからやらないんです。毎月1000万円入るからやらないんです。破産財団はそれ以上やりません。

噂話はやめましょう。

飲食店がオウムだとかけっこう対立の店が流すんです。子どもに関しても。子どもは今のところないです。疑心暗鬼になるから、やめましょう。これはどうかなと思ったら問い合わせをください。

@ こどもたちは学校に行けるようになりました。麻原には12人子どもがいます。しかし、子どもには罪はないです。カルトでは子どもが問題になっていますが、オウムでは放置されていました。ネグレクト。子どもを学校に行かせなかったのはオウム側です。オウムが人権といえる立場ではないが、子どもに罪はないのだから、学校に行かせてあげていい。わたしも人権派なんですよ。カッコ−「」−つきでないね。

A 住民票訴訟。基本的に不受理は違法だが、団体に対する不受理は違法とは思っていない。もともと住民票を勝手に扱っていたのはオウムなんですよ。1人で10件以上移動させた例もあります。(おばさん:えー!?)しかも、国民年金は出家者ということで免除申請して払ってないんですよ。(おばさん:うわぁー。←声がでかい。)だから、拒否をしたんです。団体には不受理でも違法とは言えないんです。だから、地裁の仮処分では敗訴したけれど高裁で逆転する可能性もありますよ。しかし、住民票の不受理はメリットがないんですよ。行政が敗訴したときのダメージが大きいでしょ。受理したら負けでしょうか?
そうじゃないですよ。

B 区分所有法。京都の山科ハイツでは勝ちました。オウムは冷蔵庫の中まで見せたんですが、勝ちました。横浜の道場でも勝ちました。3軒のマンションのうち1軒はできます。勝てるでしょう。あと2軒が問題です。

C 環境権、人格権。幹部がいる。集団居住で周りの環境を破壊しているということで、やろうと思えば。やりきれるかは、住民の努力次第です。でも、金がかかるでしょうね。しかし、排除はしないでください。訴訟は手段であって、目的ではないのです。追い出してもどっかへ行くだけです。いつまでも解決しないんですよ。裁判にそんなに重きがあるんでしょうか?住民みんなの総意が必要です。

ここで、いきなり「ヴァジラヤーナ」の曲を流す。(会場唖然とした感じ。笑。)終わって・・・ラテン調なんですよ。この調子で人を殺すんですよ。サリンを撒くときは魔法使いサリーを歌いながら、撒きに行ったんですよ。(おばさん:えーー?うわー)恐ろしく信じがたい組織ですね。

以上20:35終了。10分間質疑応答

@ 信者の見分け方はどうすればいいのか?(会場笑い)

昔は簡単でした。汚いジーパンをはいて、リュックサックを背負って、臭かったですから。今はわかりにくいです。しかし、話をしていくとわかります。独特の用語が出てきますから。じっくり話しかけていけばいい。(一番前に酔っぱらいがいて、挙動不審。右翼と思われて、気になった。職員に再三注意を受けていた)サマナは名前を聞かれれば私はわかります。プライバシーの侵害にはならないでしょう。公益目的ですからね。たとえば、F君、ハンドルネーム河上イチロー君ですが、ディアアングリッフというホームページを作っていて、滝本攻撃をしていたんですね。怪しいと思っていたら、案の定、サマナでした。京大生で、頭がいいんですよ。しかし、信者だと言ってギャオというものではないんですよ。

A どこにオウムは魅力があるんですか?

いい質問です。魅力があるんですよ。麻原は死んだ後のことまで考えてくれるんですよ。教義は輪廻転生から解脱するためなんですね。そのために立位礼拝したり、蓮華座を組みます。本当は麻原の破壊願望なんですね。タナトスなんです。権力欲なんです。
質問者「それが魅力なんですか?」
ほんわかしている雰囲気、選ばれたという意識がいいんでしょうね。麻原は自己性愛人格障害なんですね。

B オウムはなくならないのか?

オウムはなくさなければなりません(会場拍手)。しかし、特効薬がないのが申し訳ないです。本当に潰すには法律だけではすまないんです。

C 烏山は大田区と違う。

大家が許している。住民運動として具体的にどういう形でやったらよいか?マンションに同居なさっている方が訴訟を起こすときに周りの人が費用とか協力すべきかどうか。現実にどうすべきなんでしょう。環境権や人格権というものもありましょう。一人一人に話しかけるというのもありましょう。地域で助けてあげないとできません。しかし一方で一人一人に話しかけたいですね。

以上終了。

司会の女性が出てくる。
滝本さんの講演で三点ありましたね。
・住民が主軸
・訴訟は手段であって目的でない
・最後の一人まで戦う とまとめて終わり。
事務局から今までの経過と報告をする。「かわら版」について説明。2001年1月24日日弁連勧告、2月16日決定。オウムの主張を認める。即時抗告をしました。しかし残念な決定です。

「区は徹底して戦います!」(拍手はまばら。)
(案)を読む→拍手→案分通り届けさせていただきます。区が募金を集めていることについて説明。長期戦なので、振り込み用紙も用意したと説明する。司会の女性から最後にうわさはやめてほしい。情報に関しては総合支所に問い合わせることもできる。かわら版でも流します。地区の掲示板にも貼ります。マンションの隣の監視小屋にも資料をおいておきます。

終了20時55分。

終わって

岩本さんにカナリヤの会の脱会信者と裁判マニアの女性、元別の宗教の脱会者を紹介されて一緒に講演会場を出ると、滝本弁護士に会う。手下の振りをして出る。
その後、マンションをみんなで見学に行く。
つぼ八で、懇親会。他の一サマナも来る。


コメント29 ● 糞尿を撒かれた気持ち−第65号−2000年10月18日

慰霊碑に糞尿を撒かれた気持だった。

2000年10月10日、オウム真理教の広報部長、副部長が、坂本一家3人の埋められていた3現地を、「慰霊」のためとして、訪れた。

どうして、こんな酷いことができるのか、まったく理解できない。

オウム真理教の論理に従えば、何もおかしいことはない。「教団を維持するために世論工作をする」というのが、2000年1月16日に示された方針であり(カナリヤの詩57号4ページ参照)、そのためにこそテレビカメラを呼んだのだから。横浜法律事務所の弁護士からは、中止を要請されても、強行したのだから。

それにしても、理解できない。あの末端サマナの広報部長が(後に師補と合議によりされたとのこと)、あそこまでどうして手ひどいことをするのか。できるのか。なんで人の気持を慮ることができないのか。もとより、オウム真理教の一人一人の信者さんが、そのおぞましさをどうして理解できないのか。

いかに言葉を尽しても、「麻原さんを観想」している限り、その言葉を教えとし、その歌を歌い、その詞章を唱えている限り、慰霊碑に手を合わせていいかどうか、自己の心の内で感じて欲しかった。まして、教団代表としてなんぞ、来ていいはずがない。

朝鮮半島や中国本土には、多数の、日本軍の所業による惨劇の慰霊碑や記念すべき所がある。戦後、日本人が参ることがあるが、決して「大日本帝国万歳」という立場の人ではない。大日本帝国自体の思想を反省し、それに従っていない方々である。もし、記念碑に手を合せて、しかし「教育勅語も、軍人勅諭もいい文章だ」「天皇万歳」などと言えば、非難され、現地の方は殺意を覚えるだろう。

そう、率直にいって、殺意を覚えた。いかに、オウムで修行をすればするほど「他心通」がなくなるとはいえ、いかに自らのアイデンティティーとした(所詮宇宙の一部、そんな必要もないのだがが)オウムの教えを守るためにはいえ、許せない。

そんな気持でした。つれづれに。

なお、3現地の様子自体は、下記の「坂本弁護士一家を救う会」のサイトに出ています。
http://www.mars.dti.ne.jp/~takizawa/news.html慰霊の旅2000


コメント28 ● 「人権」なるもの−第66号− 2000年10月18日

「人権」とはなんぞや。

もともと「人権」は、国家に対する関係で、市民がその権利を不当に奪われないことを宣言する概念だったと思う。理由なく逮捕されない権利、検閲の禁止、表現の自由などなど。

だが、国家以外に他の権利を侵害する者も少なくない。暴力団しかり、節操のない大企業の圧力しかり。そしてオウム真理教も。

この号の表紙では、1990年10月20日の、日比谷公園での集会のためのビラを掲載した。そう、当時、熊本県波野村での住民票不受理等をめぐり情勢が緊迫し、青山吉伸らの逮捕予想がいわれていた時である(麻原さんが集会では「確かな情報によれば逮捕」といいつつ、後に瞑想により予言した、と言ったのには呆れたが、まあそれはそれ)。
このビラは支援した方々の記事である。

この頃、すでに教団は細菌兵器の開発に着手し、田口君殺人事件、坂本一家殺人事件も犯していた。そのうえで、この集会の後に、上九一色村でさらに次々と建物を作り、ついには内部リンチを続け、薬物LSD、サリンまで製造して使用することになる。

不思議でしかたがないのが、ここにオウム教団の要請で、その「人権」を守るために声を上げた人達が、後に何の総括もしていないことである。

教団の武装化を積極的に支援した、などとは言わない。しかし、ある組織−それも絶対者をおいている組織−を支援するとき、注意深くすべきは、「知識人」とか「運動家」として当然のことと思う。支援の結果、違法行為を助長してしまうことがあるから。

例えば、いまも問題となっている教祖の子どもらの就学にしても、もともとサマナの子どもらに義務教育を受けさせていなかったのはオウム教団であるし、それは明白な事態だった。そんな子どもの人権侵害につき、「知識人」「運動家」はオウム教団に注意してもいない。理解ができないのである。

いま、教祖の子どもらは、龍ヶ崎で「脱会者」と称するお付きの人達に養育されている。学校にいかせていなかったのはもともと自分たちだったことを、どう考えているのだろうか。なんら罪がなかった教祖の子どもらの人権をどう考えているのだろうか。行政も、住民も子ども自身の権利として考えて欲しいが、ここでは「お付きの人」に問いたい。

最大の人権は『命』だった。人の命を組織的に奪った麻原さん、そしてみずからに巻き込んで少なくない被告人(現役さんの法友であり先達)を死刑に導くこととなってしまいそうな麻原さん。

どうして、そんな麻原さんを「観想」し、その詞章を唱えられるのだろうか。


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