ゆきさん傍聴記1998年11月27日

井上公判より。

11月27日(金)の井上嘉浩さんの裁判をみてきました。
広瀬健一さんと林郁夫さんが証人で(ふたりとも地下鉄サリン事件
実行犯)、ふたりの宗教、オウムについての経験、思いが語られる
というたいへん興味深い内容でした。
おふたりは情状証人だったようです。
弁護士さんいわく、「教団に入信してから活動していく過程に修行
と密接にかかわるからそのあたりから掘り下げて」とのことでした。
たいへんな量(大きな字でなぐり書きしたとはいえ、A5版40枚
のノート2冊)で、まとめかねましたので、印象に残った証言をご
紹介したいと思います。
なお、完全には書き取れなかったので、多少ことばが違うところが
あると思いますので、お許しください。
井上さんと広瀬健一さんはスーツ。林郁夫さんは灰色の囚人服に坊
主頭でした。退出の際は手錠と腰縄をつけられました。
井上さんはとてもやせていて、白髪もみえました。ただ、目はとて
も澄んでいました。
○ 広瀬健一さんの証言

弁護士さん「早稲田在学中に入信とのことですが、入信前に宗教に
      興味はありましたか。」
広瀬さん「直前には関心がなかった。」
弁護士さん「やや関心をもつのは。」
広瀬さん「高校のころから。きっかけは、高校3年のとき、無常感
     を感じたその解決として。すでに理系にすすもうと考え
     ていた。いろいろなものを開発してもそのものの価値が
     すぐなくなってしまう。よかれと思って開発としても兵
     器に使われる。自分の意思に反するほうにいってしまう。」
広瀬さん「それがひとつのきっかけで、何事も移り変わってしまう。
     進路についてだけ感じていたわけではない。」
弁護士さん「以前、電化製品を開発しても新しいものにとってかわ
      られてしまうとおっしゃってましたね。」

広瀬さん「(宗教について)一時期調べたことがあります。どんど
     ん引かれていくということはなかった。」
広瀬さん「具体的には本を読んで、エホバの証人の話をきいたこと
     があるが、まったく現実味感じられず、深入りする気分
     にはならなかった。」
広瀬さん「まず、エホバの証人の人は、この世界を作った創造主が
     いる。わたしがいろいろと疑問をいって答える。」
広瀬さん「(エホバの証人の人が)時計をみせて、この時計でさえ
     それを作った人間がいる。それより複雑な宇宙に創造者
     がいないわけがないじゃないか。」
広瀬さん「時計の構成は物理学に反するが、宇宙の創造は物理的に
     証明できるのではないかという話を(わたしは)した。」

広瀬さん「(宗教に対して)思考を袋小路に陥らせるのではないか
     という不信感があった。」
広瀬さん「無常感を解決するものとして、悟りというもの。その悟
     りに達するものとしてヨーガをとらえていた。
     多少本を読んだ。題名はおぼえていない。ヨガの行法的
     なもの。悟りに達するためにクンダリーニを覚醒させる
     必要がある。」
広瀬さん「確かにわからないものだったが、方法が与えられてる。
     本のとおりになるなら正しい。」
弁護士さん「ヨーガを宗教というふうに感じなかったか。」
広瀬さん「わたしとしては教典を信じるという意味の宗教の範疇で
     はなかった。ある程度経験的な法則があるのではないか。
     実際に確かめる方法が与えられてる。」

広瀬さん「(物理のほうに行った理由)特に論理的ということでは
     ないですが、ひとことでいってしまえば物理が好きだっ
     た。応用物理は物理の基本的な法則を利用して現実的に
     なるべく無常感を感じないような基礎的な学問。数学に
     するか物理にするか悩んだ。数学のほうが実は好きだっ
     た。ややあんまり専門的になり過ぎ、なんか変な世界に
     いってしまうのではないか。
     (それで)応用物理に(した。)」
弁護士さん「小さいころから興味あった?」
広瀬さん「好きでした。」
弁護士さん「文化系には?」
広瀬さん「小さいころはエンジニア志望。」
弁護士さん「大学生になられてから何か宗教について衝撃的な出来
      事はありましたか。」
広瀬さん「これはエホバの証人に関することで、その信者の子供が
     事故で出血多量で輸血が必要になったが、親が宗教的に
     禁じられていると拒絶した。衝撃を感じた。」
広瀬さん「わたしにとっては輸血を拒否する戒律現実離れしたもの。
     自分からみると根拠のない現実性のないものを生命より
     優先した。」
弁護士さん「昭和62年5月、TM、超越瞑想に入会してますね。」
広瀬さん「はいったの4月。」
弁護士さん「オウムの書籍を読むまで?」
広瀬さん「入信する直前まで。朝夕15分くらいずつマントラを唱
     えながら瞑想をする。それは宗教でない、ヨーガという
     ものとしてとらえていた。」
広瀬さん「主催しているひとの世界観の話をきく機会があった。」
広瀬さん「TMただの会員。一番初めの下のほうでやめている。」
広瀬さん「TMのひとの話をきいていて、よくわからなかった。
     実際に現実味がない話がある。」
弁護士さん「少なくとも半年以上続けられて変化は?」
広瀬さん「実際は毎日ではなく3割。多少気分が爽快になるかな、
     その程度のこと。」
弁護士さん「昭和62年2月にオウム真理教(に入信)」
広瀬さん「麻原の本。超能力秘密の開発法」
弁護士さん「表紙はどういうものでしたか。」
広瀬さん「麻原が空中浮揚している写真。」
広瀬さん「空中浮揚の写真をみて、何だこれは。」
弁護士さん「いんちきくさいと思わなかったか。」
広瀬さん「ふつういんちきと思われるのになんでわざわざ表紙に。」
広瀬さん「すぐに買わなかった。一週間後。」
広瀬さん「麻原の本にはクンダリーニを覚醒させる方法があって多
     少気になった。」
広瀬さん「(ほかに読んだ本は)生死を超える、マハーヤーナスー
     トラ」
弁護士さん「イニシエーションも?」
広瀬さん「はい。」
広瀬さん「生死を超えるは、解脱に至るプロセスが書かれていたの
     ではないかと。」
広瀬さん「生死を超えるという本を読んだときに宗教団体であると
     いうことを知りました。」
弁護士さん「ようするにこれは宗教。不信感をもったか。」
広瀬さん「そういうのも少しはある。」
弁護士さん「不信感はあったけど、それでも本を読んで変化はあっ
      たか。」
広瀬さん「一週間後、へそのまわりに痛みを感じる。頭頂から気体
     が抜けていくような、本にかいてあるような体験。」
弁護士さん「どんな感覚?」
広瀬さん「へそに棒を突っ込まれる、まさにそのような。頭につい
     ては気体がしゅっと抜けていくような。」
弁護士さん「今まで体験したことのないような感覚?」
広瀬さん「はい。」
広瀬さん「1ヵ月後、本でクンダリーニの覚醒といわれている体験。」
広瀬さん「昭和63年3月8日」
弁護士さん「日付がはっきり憶えているほど衝撃的?」
広瀬さん「そうですね。」
広瀬さん「寝入りばなに体の中でバーンと爆発音。背骨をエネルギー
     がのどのところまで。そこから上、頭の中に。頭蓋骨が
     きしむ音。」
広瀬さん「(本にかいてある)とおりではない。わたしがいったよ
     うな詳細な情報はなかった。」
広瀬さん「本を読んだだけの効果(行法はしていない)」

広瀬さん「その後肩のところに熱のかたまりがあって動く。
     その後2、3日熱をもった。」
広瀬さん「自分が過去生で修行してて、その記憶が蘇ったのかな。
     オウムの世界が本物だ、心がひじょうに静かで解脱と
     いうものがほんとうにあるんだと感じられた。」
弁護士さん「昭和63年3月に入信してますが。」
広瀬さん「不信感ということですけど、まず新興宗教ということに
     気づいてて、悪い影響、マスコミでいわれてて、そうい
     う意味の不信感はあったかもしれない。高校のころは確
     かめることができないものに不信感があった。ある程度
     確かめる方法があって、そういう意味での不信感はない。」
広瀬さん「クンダリーニを達成して、指導者がいないと危険だとい
     われてたので、指導者がほしいところもありました。」
弁護士さん「入信の手続きをしたのは?」
広瀬さん「中村昇くん(松本サリン事件警護役。ウパーリ。)。」
広瀬さん「入信手続きの際に中村くんが近づいてくると、気体のよ
     うなものが上にあがってのぼせてしまうような状態にな
     った。」

弁護士さん「ヒヒイロカネという石をもらって何かあったんですか。」
広瀬さん「はい。」
弁護士さん「入信して間もないころ」
広瀬さん「はい。手のひらにすっぽり入るくらいの。その石井を素
     手で握ったところ胸に気体が広がって呼吸がしづらくな
     って倒れた。電車の中で握った直後。すぐにその石を離
     した。ポケットに戻した。」
弁護士さん「手のひらににぎってない限り何もない?」
広瀬さん「はい。」

広瀬さん「(ナーダ音)クンダリーニの覚醒後、3、4日後、何も
     してない、静かなところ。体の外でころころとこおろぎ
     がなくような音がする。
     入信してから、シーンシーンという規則的な音が体の中
     から。パイプオルガンの音、バーンと一音だけ。」
広瀬さん「(甘露)入信した夜、夜中にふと起きたところ、頭頂か
     ら冷たいものが体の下のほうに流れていく。体の中に冷
     たい液体、気体というものが、どんどん体にたまってい
     くという感覚がする。」
広瀬さん「にくげい。クンダリーニが頭頂まであがるとそれがたん
     こぶの状態になりもりあがってひりひり痛む。頭頂でな
     いときもぼこぼこ痛む。物理的な変化がある。
     (仏像さん頭が盛り上がってる)あそこまでは大きくな
     い。」
広瀬さん「地元素の崩壊。シャヴァアーサナ。大の字になって寝転
     がってるとき、何か体の中の別の身体がゼリーのように
     なってぐちゃぐちゃ。崩壊。入信して2、3ヵ月以内の
     体験。」
弁護士さん「音のイニシエーション。」
広瀬さん「麻原のマントラをデジタル録音、それを少し加工したも
     のをきく。家に帰ったところ、熱っぽくなった。ツゥモ。
     その翌朝体の中を気のようなものがうなりをあげて頭頂
     に突き抜ける。」
弁護士さん「麻原のシャクティパット。」
広瀬さん「麻原のよいカルマ(宗教上のよい状態)自分のを交換し
     てもらう。」
広瀬さん「体の変化として、シャクティパットを受けた日に、充実
     感、エネルギーがみなぎるような状態。うっすらと光が
     みえたり、尾てい骨からエネルギーがのぼってくる。
広瀬さん「(幽体離脱)出家後寝入りばな耳できゅんきゅん得体の
     しれない気味悪い音。体からひきちぎられるような、天
     井方向にどんどん体がもちあがっていくような。
     幽体というものが体から分離する。魂とはちょっと違う。
     別の身体というものといわれてた。
     怖いと目を閉じた。そういうふうな状態本に書いてある。
     そのものずばりでないが類するような。」
弁護士さん「目をあけてみたというなら現実。しかし、目を閉じて
      瞑想している。半覚醒。夢をみているんじゃないか。
      そういうものをみてると感じなかったか。」
広瀬さん「夢とは違う。感覚がリアル。思考上としては。再現性がある。ある程度。」
弁護士さん「物理や科学で説明できない。恐ろしくなかったか。」
広瀬さん「自分の物理とかそういったことに限らず、自分の体験、
     輪廻転生の世界観。自分の経験では対処しかねるという
     恐ろしさ。」
広瀬さん「(みないようにしたら)そういう気持ちにはならない。
広瀬さん「宗教を調べた根底、無常感。解脱という絶対的な無常感
     を解決する。
     修行をすすめるにしたがって、心が非常に静かな状態、
     清らかな状態、目をつぶっていなくても持続する。
     怖いというだけではく、それ以上にひかれていった要素。」
広瀬さん「(リラックスした状態)ともいえる。」
広瀬さん「ひじょうにずっとその状態にとどまっていたい。」
弁護士さん「怒りもすれば悲しくもなる、そういうものがあれば、
      むしろ人間。」
広瀬さん「まったくおきなくなるものではない。修行をすすめてい
     くと、心を動かすことがひじょうにうっとおしくなる状
     態。あるレベルまで心が動かなくなる状態、多少鈍感な
     状態。」
広瀬さん「ある程度受け流してきく。」
広瀬さん「喜びといっても質が違う。うれいしいことがあって一時
     的にもりあがるということではない。」
広瀬さん「(成就したという)一時的な喜びではなく、成就後も続
     く静かな。」
広瀬さん「外に対する欲望というのは薄れていく。」
弁護士さん「心の状態が一番ひかれていった?」
広瀬さん「現世の心の状態わずらわしいとは感じない。よい状態、
     後比較すると、修行前、ずいぶん心がざわついた状態だ
     ったんだな。」
広瀬さん「(麻原彰晃)ひとことでいえば、神。
     まったく教義の世界観、自分の常識通用しない。」
広瀬さん「自分としては絶対的なもの。」
弁護士さん「平成元年3月出家。」
広瀬さん「成就ということだけでなく、まさに現世の世界感より教
     義の世界観が現実。教義の世界観で生きるしかない。」
広瀬さん「(出家については)麻原に(直接すすめられた。」
広瀬さん「広瀬くんよかったね。いよいよ出家だね。(といわれた。)」
広瀬さん「今はできない。(と答えた。)」
広瀬さん「きみたちがやらなければ誰が救済活動をするんだ。そう
     いう保身的なこといってる状態じゃない。(といわれた。)」
広瀬さん「オウム真理教の教義を布教し、信徒を増やす。」
広瀬さん「ただ解脱のたえだったら、在家という方向もある。」
弁護士さん「まわりの反対は?」
広瀬さん「あまり理路整然とした反対はされなくて、とにかく反対。」
広瀬さん「根底には教義の世界観が現実だと思ってるから。
     出家を両親の反対でやめてしまうと悪業となる。両親に
     悪業をつませない。」
広瀬さん「出家、(現世の価値観を捨てる)そういうこともいえる。」
広瀬さん「たとえば具体的に自分がひっかかったの戒律問題。
     酒のつきあいできない。あまりおおっぴらにできない。
     ひけめ感じて。
     人が多いところにいるとやや心身が悪い状態になる。修
     行者が多い空間、心身が安定した状態。
広瀬さん「出家後立地礼拝3日間。」
広瀬さん「その後CSIに配属された。」
弁護士さん「科学班。」
広瀬さん「当時は二十数名。」
広瀬さん「当初は村井の指示で、窒素レーザー。紫外線領域の光を
     出すレーザー。目的としては光のイニシエーション。宗
     教上の高い世界、色素レーザーを発生させるための前段
     階。なかなか修行がすすまない人に高い世界を経験させ
     る。それをみせることにより修行をすすめるという考え
     方があったのでは。」
弁護士さん「ほかの道具?」
広瀬さん「わたし以外では、アストラルテレポータ。麻原のマント
     ラデジタル録音する。行法のためのポット、ひものよう
     なもの。」
弁護士さん「平成2年2月衆議院選挙(にでましたね。)」
広瀬さん「現世を救済するのだから政治力をもつ。」
弁護士さん「ボツリヌス菌の培養は?」
広瀬さん「平成2年の3月くらいに始めてます。」
弁護士さん「(選挙後)科学班に戻って、麻原あるいは村井からの
      指示は?」
広瀬さん「一番初めのころは子供に理科を教える。出家者の子供。
     それから麻原から気球がどれくらいあがるか計算しろ。
     村井から窒素ガス分離、こうおんそ(高音素?保温槽?)
     をつくれ。その後、菌を培養、ペーハー(はかって)、
     遠藤(に報告しろ。)。」
     菌がボツリヌス菌とわかったのは1ヵ月後。」
広瀬さん「平成2年の4月10日前後(ボツリヌス説法)。
     石井久子さん、上祐史浩さん、飯田エリ子さん、
     ●●●●さん(西信徒庁長官)、大内利裕さん、
     杉本さん(といった)古参の大師。
     村井さん、遠藤誠一さん、中川智正さん、渡部和美さん、
     藤永さん、滝沢さん、●●さん、全部で20名くらい。
     井上くんはいませんでした。
     これからヴァジラヤーナ。武力をつかった(救済)。
     ボツリヌス菌を世界中にばらまく。
     (気球にのせてばらまく。)
広瀬さん「(具体的に)その説法に参加したの約25名。」
広瀬さん「乾燥機たちあげて、ボツリヌス菌の培養。」
広瀬さん「(負けてしまった選挙)麻原、選挙というのは、今の世
     の中でマハーヤーナでできるかテストケースだったのだ
     から、ヴァジラヤーナでいく。」
広瀬さん「こういうふうな方法でしか救済できないと悲しくて、殺
     生をするということにぞっとした。」
広瀬さん「(ボツリヌス菌の計画)6月まで行って失敗して立ち消
     えになりました。」
広瀬さん「遠藤誠一さん、種菌ができてなかった。菌の純粋培養が
     できてなかった。
     その後は波野村に運んでおわりになりました。」

広瀬さん「(神秘体験は)現在では脳生理学的にそういうことが起
     こっている(と思っている)。」
弁護士さん「そのときには脳生理学できなものとは浮かばなかった?」
広瀬さん「教義の世界観。」
広瀬さん「(脳生理学的なものと思ったのは)平成7年の秋。背景、
     地下鉄サリン事件。多くのひとに多大な苦しみを与えて
     しまった。宗教的な世界観から離れたい。自分の修行体
     験を脳生理学的に解釈できるような本に出会った。」
○ 林郁夫さんの証言

弁護士さん「被告人の井上くんも阿含宗の信徒だったことがある。
      阿含宗どんな特徴、原始仏教との関係(をききたい。)」
林さん「阿含宗の宗旨そのもの。釈迦本来の教え。原始仏教看板の
    ようなもの。生存中に教義を出すというので。
    その根幹をなすのがヨガの修行。」
弁護士さん「現代社会の評価は?」
林さん「決して否定できなものではない。さまざまなものが蓄積。
    よいものがわかっているが実行できない。霊性を開発して。
    だから修行しなさい。」
弁護士さん「阿含宗(は)ノストラダムス(の予言をどのように?)」
林さん「1999年7の月、桐山さんは1つの本を出している。何
    かおこるだろう。具体的にはそれを契機に人類は(滅びる
    のではなく)社会的にかわる。天変地異。仏教的な教えひ
    ろがっていく。」
弁護士さん「阿含宗で因縁」
林さん「阿含宗だけでなく仏教の根幹にかかわる。桐山さん深層心
    理学。煩悩が消えて結果を表す。煩悩が人間の深層意識、
    蓄えられた潜在記憶、そういうとこに根ざすのである。
    それを現在の心理学に応用すれば。」
林さん「仏教史、日本の仏教の歴史、その時代に実際に実践できる
    修行方法。」
林さん「具体的な修行法。指導するグルの(存在)。」

弁護士さん「時の政治家との関係は?」
林さん「むしろ学問の世界。原始仏教、根本仏教を世の中に出す。
    ひじょうに共鳴したのではないか。」
弁護士さん「他の宗教との関係。」
林さん「初期のころバチカンにいったり、中国にいったり。
    阿含宗呼ばれていた。私も旅行に参加した。売り込んだと
    いう感じはなかった。学問の世界からバックアップ。」
林さん「わたしがいる段階、わたしが望んだクンダリーニヨーガの
    修行なかった。」
林さん「(阿含宗に)満足していない。」
弁護士さん「具体的な指導がない?」
林さん「そうですね。」
林さん「クンダリーニヨーガをはたす方法がないか模索。」
弁護士さん「オウムに出会ったのそういうとき?」
林さん「そうですね。」
林さん「その当時の麻原、オウムが提示したもの。
    阿含宗の根本的な(ものに加えて)、
    クンダリーニヨーガ、チャクラの開発、解脱、実践、
    成就者を出した(途中書き取れず)。
    具体的に実践させている、しかも実(じつ)のある。」
林さん「昭和63年当時、マハーヤーナで示していたもの、数々の
    著作、そこでしめしていたのオーソドックスなもの。」
林さん「オウムでも因縁。それに対して業、カルマ。両方ひっくる
    めて、あらわしているところがある。」
弁護士さん「阿含宗にはないけれどもオウムにあるものは?」
林さん「指導者が解脱をしたといい、クンダリーニヨーガを成就し
    た弟子がおり、さまざまなイニシエーションという修行エ
    ネルギー移入をすすめる手段というもの信徒に提供してい
    た。」
林さん「ひかれた。」
林さん「結果というものを出している。わたしも結果を出したい。」
弁護士さん「イニシエーション、シャクティパット。」
林さん「人体エネルギー、生命エネルギー。オウムでいわれてたこ
    とは、額に手をあてまして、成就者が信徒に自分が生命エ
    ネルギーを注入する。」
林さん「石井久子さん(から受けた)。」
林さん「そのときは、すごく期待してうけた。
    (やっていたときは)自分のやったこと(を思い出して、
    石井さんにわかると思って)恥ずかしいばかり。
    終わってすわったとき、自分の体がない、という体験。
    振動と圧力とともに戻ってきた。だからまるっきりいんち
    きというわけではなかった。」
林さん「弟子が看板どおり、本当の力をもっている。その弟子を育
    てた麻原も力を持ってたんだろう。」
弁護士さん「麻原に対する信が深まった?」
林さん「そうですね。ひとつの確認のようなものですね。」
弁護士さん「出家した動機。」
林さん「ま、いくつかあると思いますが、直接のきっかけは麻原か
    ら勧められた。もっとも心動かした(のは)、オウムバッ
    シングでオウムがいわれなき受難をしてると思った。
    オウム全体でもいわれてた、麻原、受難をはねのけるよう
    (しないのは)法を知ったものとしてはありえないのでは
    ないか(といった)。」
弁護士さん「麻原はグルであると考えた理由。」
林さん「グルというのは精神的な指導をする。弟子そしっかりと出
    している。高弟、それ以外のひとも寝ないで指導している。
    そういうのをわれわれは実際みているんですよ。麻原だけ
    でなく、オウム全体の宗教性否定できない。
    麻原とオウムの宗教性を否定できない状況がその当時あっ
    た。」
林さん「大乗の発願、苦の詞章。すべての魂を解脱させる。自分が
    最後に解脱するんだ。わたしも医者のはしくれだから。
    そういうものに対する努力をしてたんだなと思います。」
林さん「麻原さんの宗教性、結局わたしがこうみえた。
    阿含宗の流れからいって、そのまま、実践させて、そこに
    麻原がいんちきだが、麻原がそのように振舞ってた。わた
    しだけでなく、宗教をウオッチしているひとでも共感をも
    った人がいた。」
弁護士さん「証人は、お医者さんとして実績をもっていて、そうい
      う俗世とのバランス、そういうものを考えることはな
      かったんですか。」
林さん「あんまり、そういう、考え方、実績ですとか、そういうこ
    とよりも大切だと思うことに欠けていく、取り組み方。
    その結果がこういうことです。」
林さん「わたしのなかではまるっきり捨てちゃう。わたしとしては
    自分がそのように社会体験をしたこと、そう何か提示でき
    るものがあったのではなかった。オウムの世界に埋没して
    いるとは思わなかった。」
林さん「グルの意思とは何だ。ほんとうのすべての魂の苦というの
    ものを内在することができたときに修行が達成できるんだ。
    グルの意思を尊重する修行そのもの。感動しないひとはい
    ないんじゃないでしょうか。
    大乗の発願である苦の詞章感動した。
    (井上さんうなずいている。)
    出家した後の修行、石垣島セミナー、5月。AHIにいて、
    清流精舎に集められて、朝から晩まで修行、極厳修行、非
    日常的な体験。
    そんな体験、光、そういうものを見たり、当時三グナ、そ
    ういう色、光をみた。
    ラージャヨーガ。
    オウムの教義、体験するのがあたりまえだと思ってた。
    麻原、オウムが提供していた修行方法によって体験した。
    当時は麻原がひとりひとりのことを思念してるから物理的
    な空間をこえてエネルギー(が送られて)成就(すると考
    えていた。)
    AHIから戻って、9月から波野村で極厳修行、5月くら
    いして、クンダリーニヨーガ。」
弁護士さん「AHIは何を省略したものですか。」
林さん「アストラル・ホスピタル・インスティテュード。」
弁護士さん「AHIの運営はどなたの判断?」
林さん「それは麻原以外にありえないけど。」
弁護士さん「細かい運営は?」
林さん「初めは中心できなことでない。先に成就した中川智正被告。
    先に成就したひとに伝えられてAHIが運営されていた。」
林さん「(AHI)はワーク以外ではありえない。」
弁護士さん「AHIの治療、ヨーガ的理論に基づいて一定の成果は
      あったんでしょうか?」
林さん「最終的にはホスピス。
    いろんなことをやってた。
    現代医学、漢方。末期ガン。」
林さん「時期によってむりやり入院させられたひともいました。
    この人を入院させて、という指示があった。
    (何かをするのに)いちいちお伺い書。FAX毎日送って
    た。」
弁護士さん「平成5年の秋頃教団の修行実態が変化してきた。」
林さん「平成4年の秋から。あきらかに変わってきたのは平成5年
    の秋。モーレツ社員のやるようなノルマ課せられる。
    死の準備をしろ。切迫したような。」
林さん「(AHIのひとたちは)いやがってた。」
林さん「極厳修行でもうヨガやらなくなってきた。呼吸法はあるん
    だけれども。」
林さん「実際ひとりひとりが体験して変化を感じられる修行がだん
    だん切り捨てられていった。」
林さん「むしろ、みんなの考えを1つの方向にかえる修行。修行が
    変わったの、麻原が武装化、国家転覆、思想的に麻原の思
    うように動くひとたちを作るように修行法変えてった。」
弁護士さん「PSI平成5年秋。」
林さん「画一的に誰でも麻原のいうことをぱっときくように。
    イニシエーション、人をあつめる、金を集める。」
弁護士さん「林さんはその当時、PSIをどのように感じてました?」
林さん「PSI、(自分は)年寄りの部類として実験台。ちょっと
    変わった体験をしている。」
林さん「生活、麻原オンリー。修行すれば成就近づく。そういう思
    いで体験してしまう。
    麻原の力でもない。オウムの力でもない。チベット仏教の。
    わたしたちは当時すべて麻原(の力だと思っていた)。
    実際にはヨガそのもの。チベット密教そのものがシステム
    として完成したものをもっていた。
    麻原でもない。オウムでもない。そういうふうにわたした
    ちを誘導していった。」
林さん「(教義の上での変化)平成4年の暮れぐらいから、教義だ
    けの話では(なく)全体が変わってた。
    オウムは抹消される対象になっているんだ。
    平成5年の2月ごろから、麻原流のタントラヴァジラヤー
    ナについて説き始めた。それまではふつうのサマナに話し
    てなかった。それはおまえたちが実践すべき、説法として
    やるべき修行法として、盗みや違法も正当化された。」
林さん「麻原がすべての人のカルマをみきってる。過去、現在、未
    来、おこる出来事。原因。
    全部みきってる。社会情勢。
    みきった能力のあるひとみれば現時点で、盗み、殺人と思
    われる場合にも単なる犯罪行為ではなくて、社会や個人に
    救いをもたらす。
    現時点でみるんではない。現在、過去、未来。よいことの
    種をまいたんだよ。」
林さん「わたしとしては素直に受け取れた。」
林さん「麻原がいうから。」
林さん「それは、カルマ、因縁、因果の法則を極端に進めていけば
    そうなるかもしれない。
    育ってきた価値観があるんだから。現在三悪趣にみちてて。
    そういう被害者意識もってる。
    この時代はこう思っちゃうんですよね。」
林さん「平成4年、直接わたしたち自信が攻撃の対象となっている。
     戦いの時。それを跳ね除けなければ。」
林さん「苦の詞章。自分を犠牲にしても人類のために尽くさなけれ
    ばならない。みんな共感する。狡猾ですよね。
    (井上さん、何度もうなずいている。)」
弁護士さん「攻撃を受けてる?」
林さん「上祐、わたしたちに説法した。圧倒的な相手に戦いをしな
    ければならない。」
林さん「上祐言ってたの、わたしたちは人数は少ないかもしれない。
    しかし、真理を残そうという団結力があるではないか。」
林さん「麻原考えだした。上祐も説法してるから相談にあずかって
    る。平成5年の秋頃から、●●(法皇官房幹部Iさん)、
    青山、上祐も含めてオウムのそういう流れを作ったのだと
    わたしは思ってる。そういうひとたちも麻原の本音はわか
    らなかっただろう。流れを作ったのはそういうひとたちだ
    ろうと思う。」
弁護士さん「池田大作ポア事件、新見さんの治療をしたということ
      でサリンの存在を知ってどうでした。」
林さん「最初はあわてました。実際にそういうことやると思ってま
    せんでしたからね。そのシチュエーション麻原と一対一。
    批判的に思ったらわたしもポアの対象となる。一生懸命隠
    そうと。心を揺らしてると思われる。」
林さん「私自身それまで怖いというもの出てくると押し殺すような
    操作していた。井上くんがどこかで怖いといったので、私
    自身も怖さに気がついた。
    本ではリライトしたひとが逆に書いた。
    他の場面でもありました。」
林さん「結局、わたしたちが怖いといったとき、一般の人たちが思
    う怖いとは違う。怖かったら逃げりゃいいじゃないかと思
    うでしょうが、同じ言葉だけどちょっと違う。」
林さん「その怖さ、麻原があくまで宗教的な人だと信じてるから、
    それ離れない。」
林さん「自分のわからない麻原にはわかっている私自身のことで判
    断されてポアされてしまう。妻や子がポアされてしまう。
    自分の理由ではなく、宗教的なカルマをみきってポア。
    そのときは麻原をグルと思ってる。それを否定する要素に
    ない。タントラヴァジラヤーナを実践するグルとしての重
    みが増してる。」
林さん「宗教をもとめて、修行をもとめて、入っていくから、それ
    を捨てることは修行を捨てたってことになる。だから、ほ
    とんどの人がオウムを離れないんじゃないか。
    自分が選択して入った道。それを一貫したい。それにすご
    く拘束されてた。中には離婚して入っていった人も。」

林さん「オウムのこと邪教だ邪教だというけれども、わたしたちは
    教義にのっとってそういう犯罪行為を犯したんじゃない。
    麻原を信じたから。社会的なものと葛藤、それを納得させ
    るため教義となってしまう。
    邪教というのは邪教側からいうとみんな邪教となってしま
    う。そういうこといってもオウムは分析できない。」

弁護士さん「毒ガス攻撃本当にあると思ってた?」
林さん「そうですね。」
弁護士さん「なぜオウムが毒ガス攻撃されたと。」
林さん「やっぱり自負心がある。オウムに対して。
    出家生活そのものはいいかげんにやったと思ってない、今
    でも。もともと自負心を。もっといいことをしようおと思
    って入ってきた。」

林さん「わたしがみてきたところ、上祐、村井、●●(法皇官房幹
    部Iさん)、青山、確実に麻原から相談を受けて、そうい
    う方向に。今、そう思ってる。」
弁護士さん「法皇官房と治療省の違いを述べると?」
林さん「治療省は本来は誕生しなかった部署。井上被告のところの
    諜報省の機能、信徒庁の機能、みんな法皇官房が吸収して
    きた。」
林さん「まさに中枢ですね。すべてのオウムのサマナのデータ。そ
    れを自由に扱ってた、そこのひと。」
林さん「新しく信徒となった履歴書ダーキニーがあづかってる。●
    ●(法皇官房幹Iさん)がまず最初みて、出家した人をど
    こにやるか決めてた。」
林さん「麻原、●●(法皇官房幹Iさん)をすごく重要視して、オ
    ーガナイザーとしての能力を充分発揮できるように。」
裁判長さん「(当時は)下向したひとどう思った?」
林さん「修行に耐えられないから下向したんだろう。そのひとたち
    もオウムを続ける。」
裁判長さん「麻原の指示で犯罪が起こっている。教義は別?」
林さん「麻原は最終解脱した(と言っている)。こういう修行方法
    何をとりいれてもいい。そのような認識のもとで。教義と
    いうより、麻原が最終解脱者。
    修行法と教義を分けて。」
林さん「修行法はオウムのものではなく、チペット密教ということ。
    (邪教にはあたらない)」
林さん「邪教というふうに宗教団体のトラブルを理解しようとする
    と(理解できない。)」

林さん「(薬物イニシエーションの目的)どうして使うかというこ
    とはきいてないんです。わたしは医療管理をまかされた。
    人集め、金集め。11月からのルドラチャクリン、覚醒剤。
    ●●(法皇官房幹Iさん)たちの思想統一の道具として。」
林さん「きっかけはわからない。いろんな状況から考えるとやっぱ
    り●●(法皇官房幹Iさん)くんたちが。そうでないとで
    きない。それに中川、村井、遠藤。それは推測ですから。」
林さん「バルドーの悟りのイニシエーションというのは、わたした
    ちAHI治療省からいうとひとつしかないんだけど、どう
    も法皇官房のが一般的にはバルドーの悟りのイニシエーショ
    ンといってたようだ。」
林さん「深層記憶、潜在記憶、煩悩はそういう深いところから。
    麻原が。チオペンタールとか。意識下の意識で煩悩を落と
    していく。自力ではなく他力であるが煩悩落としていて、
    それで解脱も夢ではない。
    薬で深層意識となった状態、バルドーと同じだと麻原が
    言った。」

林さん「元々は精神医学のイソミタールインタビュー、正式にはナ
    ルコインタビュー。」
弁護士さん「富士から水を運んでいた冨田さんのスパイチェック。」
林さん「イソミタールインタビューではわからない。ポリグラフで
    陽性反応。ポリグラフの表情も書く。」
林さん「わたしが報告したとき何も言わない。
    (あとで)富田はこうだから。首を切る動作。
    ポア(されたのかなと)。」
弁護士さん「平成6年6月キリストのイニシエーション。」
林さん「もうちょっと前、5月の終わりくらいから。」
林さん「キリストの骨。麻原がつけた隠語。
    LSDを含んだスポーツドリンク。サットバレモンの中に
    LSDを入れて飲ませる。」
弁護士さん「対象。」
林さん「師、サマナ、信徒。全部やったんじゃないか。」
林さん「キリストのイニシエーションの体験証。
    麻原、村井・・・。評価するひとつの指標。
    もうひとつは●●(法皇官房幹Iさん)を通じて信徒拡大、
    資金集め。」
林さん「これからそれ(体験の内容を書いたもの)をもっていって、
    3人でステージを決めるんだと遠藤がいってた。」
林さん「ビデオみせて。石井久子さん。バルドーの導き。
    閻魔の役、ごくそつの役。信徒サマナ裁かれる。」
林さん「途中で、決意1〜4の修行。その内容をビデオにとってる。
    シナリオ作ってる。決意1〜4の内容、言葉だけでなく、
    五感を使って叩き込む。薬を使って記憶を確かめる。
    表層記憶、深層記憶、潜在記憶。
    確かめるってことを●●(法皇官房幹Iさん)たちはやっ
    ていた。」
林さん「人間の感覚のすべてを決意1〜4漬けにしちゃおう。」
弁護士さん「LSDの体験なされてる。」
林さん「意識変容というのがおきたと思いますけど。」
林さん「今から思うと、麻原がわたしがキリストのイニシエーショ
    ンを受ける前にいったことをビジョンとしてみてる。かつ
    て耳から聞いたことLSDのビジョンとしてみえてきた。
    少量のLSDがそういうこと。」
林さん「石井さん、わたしの知る限り瞑想の指導。遠藤、みえない
    ところで飲み物にLSD注入。」
林さん「わたしは名前読み上げてるとき時間書いてた。医学管理。
    その後現場行って。」
弁護士さん「ルドラチャクリン、LSDと覚醒剤。」
林さん「はい。麻原の説明では両方ともハイにする薬。誘導された
    効果、快感とともに記憶されるから効果があるんだ。」
林さん「キリストのイニシエーションは体験が激しくなる。」
弁護士さん「体験を誘導する。人格を変えるというふうにみえるん
      ですが。」
林さん「決意1〜4の内容、より確実なものに。その人の価値観を
    変えてしまおう。」
林さん「決意1〜4、決意の修行、価値観を変えるということ。
    自由に扱える、麻原のいうこと何でもやっちゃう人を作る。

弁護士さん「これで亡くなったひとはいたんでしょうか。」
林さん「わたしが医学管理をやらされたの亡くなったひとがいたか
    ら。最初3人途中で1人あとで?。」
林さん「温熱でわたしが呼ばれたとき心停止。
    ルドラチャクリン、(心不全?)。
    キリストのイニシエーション、体温がひじょうに高くなっ
    て熱中症。」
弁護士さん「ナルコスパイチェックに使って、ナルコ用いられた人
      何人くらいでしたか。」
林さん「最初いったとき、帰依のチェックとスパイチェック分けて
    なかった。スパイチェック20人ちょっとくらいではない
    か。のべ。何回もやった人いるから。教団分裂(騒ぎのと
    きの)も入れるとスパイチェックもっと。」

弁護士さん「ニューナルコについて。」
林さん「ニューナルコ、麻原が記憶消しのことを考案しろ。その結
    果考えられた記憶消しの方法。精神病の治療で電気ショッ
    ク療法あてよう。」
林さん「最初は修行のため。破戒した男のサマナと女のサマナ。」
弁護士さん「それがオウムにとって都合の悪い人の記憶を消す。」
林さん「分裂騒ぎのとき、仮谷さん関係の世田谷支部のひとたち、
    のべで80名くらい。」
林さん「ルドラチャクリンとセットに考えたのかもしれない。」
林さん「1月の半ばに(林さんのほうで)やめますということで、
    やってませんから。」

(オウムと私の内容で、地下鉄サリン事件前のことについてやりと
 り。証拠になってないと検察側から意見がでる。
 少しだけということで続行。)
林さん「私とペアを組むひとは誰なんでしょうね。(ときいたら)
    (井上さんは)誰だったっけ?わたしのとなりのひとが
    答えた。(誰か)確定的には言えない。」
裁判長さん「推測は?」
林さん「林泰男だったと思います。」
弁護士さん「証人が逮捕された後、井上被告が拘留理由開示の手続
      き。そこで井上被告がオウムと絶縁する主旨。信者の
      かたがたに脱会を呼びかけるそれを読まれた。」
林さん「新聞で。」
林さん「私と同じ思いをもってるんだな。」
弁護士さん「井上被告の法廷での発言をきいて。」
林さん「同じような思いをもっているひとが公にその意思を証明し
    た。心強い。ただし、誤解されなければいいのだが。」
林さん「元信徒サマナが麻原を思いきるのたいへん。普通のひとが
    基礎的な知識もなく声明文をよむとパフォーマンスととら
    れてしまうのではないかと心配でした。」
林さん「今まで自分の人生をかけたんだという大きな壁。今まで乗
    り越えることができないひとがいるんだから。
    (間。しばらく沈黙。)
    勇気以上のものがあると思いますよ。」
弁護士さん「証人が麻原法廷に証人として出廷する翌日に井上被告
      が証人として設定されていた。証人が麻原法廷の影響。」
林さん「わたしひとりではない。心強く思ってました。」
弁護士さん「井上被告は証人の法廷以外の多くの法廷に。」
林さん「わたしは少し心配。彼は真面目だから、一生懸命になりす
    ぎるから。理解してもらえないのではないか。
    麻原、井上被告が証言したときにラジオで(聞いたのです
    が)麻原がすべてをしょう(背負う)といった。
    (井上さん泣きそう。)」
林さん「麻原がそういうひとだとわかってた。わたし、それを聞い
    たときにドキっとしましたよね。
    もしかしたら、わたしが、間違っているかもしれない。
    (林さん泣いている。)
    そしたら、その後にわたしはまったく無罪だって。
    わたしだってああいうふうに思うんだから動揺させられ、
    やっぱり自分が一生懸命信じた人がいくら変な人だって分
    析したって、ほんとうに謝罪して思ったから、それをきい
    たとき一瞬うれしいと思った。
    麻原の言ったタイミング、新聞で読んだところ、ほかの人
    ではわからないが、非常に狡猾にタイミング計ってパフォ
    ーマンス。それを目の前でやられて。
    井上君がよくあれを乗り越えられた。他の人はわからない
    けど、わたしはそのたいへんさを理解できる。
    その後麻原は不規則発言をしてるけど、非常に狡猾だ。あ
    れをやっぱり乗り切れたってのは、ほんとうに自分自身が
    分析して謝罪してと思ってなければ乗り越えられないよう
    な。
    卑劣という言葉をすべてあつめても足りないというくら
    いあれは卑劣。」
弁護士さん「麻原のほんとうのねらい。」
林さん「今、麻原の弁護士は荒唐無稽だというけど、確かにそれは
    荒唐無稽だった。しかし、それは本気だった。
    それは麻原の人格がゆがんでいたから。すべてはそこから
    始まった。自分自身がトップ。宗教的な手段を使ってそれ
    がいつから始まって信者がどういうふうに巻き込まれたか。
    それを分析していかないとオウムはわからない。」
弁護士さん「ある意味では麻原に操られた。なぜ拒否できなかった
      か。そののなぞの勢力から攻撃されてる、オウム全体
      の認識?」
林さん「麻原が直に何度も言ってる。そういう説法を聞いている。」
弁護士さん「弟子の人たち操った麻原の人格的ゆがみ。麻原からみ
      た個々の人たち、温かい血の通ったひとだと。」
林さん「結果的にみてなかった。」
林さん「心理学的な共感がないと。ただ自分がこうしたいと思った
    ことを。相手がどんなふうに苦しもうと、本心ではどうで
    もいいと思っていたと思います。」
林さん「麻原はばかではないから、宗教的に色をつけてた。
    宗教性をつければ弟子はいうことをきく。」
林さん「オウムを守らなければならない、そうですね。」
林さん「少なくても自分たちは修行してるんだという自負心。オウ
    ムによって真理が守られるんだ。」
弁護士さん「サマナ、信者にとっておオウム以外の世界異なる。」
林さん「もの凄い被害者意識。国土法。
    住民票受理されない、水もひかれない、電気も引かれない。」
弁護士さん「オウウの社会と外の社会の摩擦。それに打ち勝たなけ
      ればならない?」
林さん「サマナ、排除しようとか戦うとは思ってない。上祐、麻原
    の説法。排除しないと抹殺される。麻原、武装化実行でき
    るような段階、そういうことを言ったんだと思う。」
林さん「心を動かさないようにする。何があっても動揺しない。
    感情を否定する。心を揺らす世間の情報を否定する。決め
    てやったことは心を動かさない。一貫しよう、それとうま
    く引っ掛ける。
検察官さん「麻原、そういう考えあったのか。きっかけあったのか。」
林さん「結局はそれはもう昭和60年、アビラケツの命(ミコト)
    を任命された、戦うこと、人は死ぬけど、それは引き受け
    ないと、超能力者、祭政一致。
    オウム神仙の会という名前、そのことをもう始めようと。
    杉本へ○○○○○のセミナー、超能力団体使って国家転覆。
    出家制度、その後。明らかに団体を大きくする。戦うために。
    ボツリヌストキシン、広瀬の発言。村井の発言、これは尊
    師の世界戦略やからな。」
検察官さん「国家転覆、元から考えてたという認識。」
林さん「平成2年の秋、もうホスゲン作る施設波野村につくってた。
    広瀬の証言。」
検察官さん「今現在もオウム真理教、存続拡大してる。オウムその
      ような実態。」
林さん「オウムの中にもジャンクでない部分ある。修行法とか。大
    部分のオウムに残ってたひと、池田大作事件の前の私のよ
    うに弾圧してると思ってる。頭で考えてるのと違って、な
    かなか離れられないんじゃないか。」
検察官さん「教義を信じていたより、麻原を信じていた。
      麻原は身柄を拘束された。麻原とは別に教義そのもの
      がオウム信者をひきつけるものをもってる。」
林さん「オウムが表に出しているのは仏教的な教義。誰もが受け入
    れられる。浄化法、インドの。効果ある。ヨーガ。
    いかにオウムに反感をもっている人でも6ヵ月やったら効
    果でちゃう。だんだん信じていっちゃう。その部分だけみ
    せられて体験すれば。」
検察官さん「わたしたちの怖さという感覚少し違うといった。
      逃げるということは修行を捨てることになる。
      逃げようと思えば逃げられる。しかし修行を捨てるこ
      とになる。自分の意思で。」
林さん「基本的に麻原を信じているところがあるから。」
林さん「麻原が宗教的な見地からすべてを指示してる。
    疑ってない。」
検察官さん「毒ガス攻撃、100%信じたか、疑いながら麻原がい
      うから信じたか。」
林さん「麻原毒ガス平成5年10月、そのときはあまり切実なもの
    として感じてなかった。池田大作(事件を)みて、毒ガス
    身近にもってこられる。高弟たち、湿疹、びらんって。し
    かもアンケート調査して、みんな苦しんでることがわかっ
    たとき信じちゃう。」
林さん「説法されたとき、麻原さんとか石井さんとか(直接)みら
    れる立場じゃなかった。中川みてる。遠くからみてるだけ。
    CMI(土谷さんの実験棟)みせてもらったとき、土谷が
    まかされてるプレハブのコスモクリーナー、サリンとイン
    ペリットが含まれてた。内部のひとが内部のひとに嘘をつ
    くとは思ってないから。」

林さん「おまえポアするぞ。しょうがないとポアされる。
    本能的な怖さ。自分ではわからない部分で判断される怖さ。
    (井上さん、うなずいている。」
林さん「(地下鉄サリン事件は)わたしがオウムを守ろうと出家し
    たときのイメージどおりのこと言われたから従ってしまっ
    た。」
裁判長さん「最後に被告人に言いたいこと。」
林さん「(井上さん、ほほえんで林さんをみている。)
    結局、私たちが何気なく使っている言葉は一般の人がイメ
    ージする言葉と違う。イエスマンという言い方は村井さん
    に対してフェアじゃないことを私たちは知っている。何で
    も実現しようとしてきく。これからはそういうことも注意
    して離されると事実がわかっていただけるのでは。
    わたしもそうでしたが、どんな判決になるかわからない。
    どんな立場の人も結局死ぬまでしっかり生きている。
    生きているときに自分が一歩踏み出して行った行為がどん
    なことをひきおこしたのか、その思いが反省ひとつの学び
    であると思うんです。わたしは誤解されるかもしれないけ
    ど、社会の中から日常の中から自分が求めたもの、一歩踏
    み出すのたいへんそれは誇りと思っていい。あまり卑下し
    過ぎないように。自分が学んだものひとにも勧めるように。
    オウムにいるときはいろいろな修行のことは常にアドバイ
    スしてくれた。そういう心に対してひじょうに感謝してい
    る。いつも最後にがんばってくださいって言ってくれまし
    たよ。どうかがんばってください。
    (井上さん、泣きそう。)」
裁判長さん「証人が沈黙したり、涙ぐんだりしたのは。」
林さん「麻原から心を離すのはすごく大変なこと。公の場で謝罪す
    ることはそれはなかなかたいへんなことなんです。罪に問
    われようとしている人たち、みんな若いひとたち。彼らに
    は、被害者の方怒るかもしれないけど、子供たちはいない
    し、麻原には何人も子供がいて。最初はどんな気持ちでオ
    ウムに入っていったか。被害者の方のことを考えると私が
    こんなこといっちゃいけないんだけど(沈黙)、何とかな
    らないかな。
    (林さん涙。井上さんも泣いている。)」
林さん「個人のルール、社会のルール。
    宗教決して法のもとに運営されて、国家、宗教と社会のル
    ール、対立するものではなく、宗教優先するものではない。
    宗教というものが人殺しを肯定するものではありえなかっ
    た。」

傍聴して思ったこと。 投稿者:ゆき  1998年11月30日(月)01時46分35秒
 広瀬健一さんは論理的に物を考えるひとですが、やはりあれだけの神秘体験をしてしまうと、そちらのほうが現実になってしまうのですね。
 ただ、新しい製品が次々とでてくるから無常というのはわたしはそうは思いません。技術は乗り越えられるものではないですか。そうして何代もかけて進歩してくのだと思います。
 林郁夫さんは、年長者としての意識が強く、被害者の方を気遣いながらも、若いひとたちをなんとか助けてほしい、という気持ちが切々と伝わってきました。
 もしかしたら、わたしが、間違っているかもしれない、というのはそれだけ麻原さんは力をもっていて、そこから離れるのはたいへんなのだ、ということを感じ、また、無罪だといわれたときの弟子の無念の大きさを感じました。

広瀬健一さんをみて 投稿者:ゆき  投稿者1998年11月30日(月)01時53分09秒
 オウムのひとで無常を感じてたってひとが多いですが、無常を感じるひととそうでないひとってどこで別れるのだろう、どこで違ってしまうのだろう、と考えてしまいました。たしかにむなしいことはあるけれど、彼らほどは考えませんから。