緑茶を飲まれる皆様へ
社団法人埼玉県茶業協会
  「癌の臨床」(第49巻・第3号 2003年3月発行)に記載された「緑茶によるがん予防臨床応用に向けて」の抜粋を、研究発表者の了解を得て、配布しています。

緑茶によるがん予防(抜粋)
 長年の研究から、現在では緑茶は最も効果的ながん予防飲み物として認められるようになった。どのようにして、飲み物によるがん予防を臨床的に始めることができたかについて紹介する。

1)緑茶カテキンの特徴
 食品の中には、いろいろながん予防物質が含まれている。しかし、緑茶の場合、その有効成分であるカテキンが、煎じたお茶の中に既に溶出された状態にあるので、そのままお茶として飲用できる利点をもつ。更に、緑茶に含まれる活性型と不活性型のカテキンがお互いに相乗効果をもたらすので、緑茶はまさに理想的ながん予防飲み物である。

2)緑茶カテキンのがん予防効果 
表1 EGCG(カテキン)及び緑茶エキスの飲用によって予防されるがんの臓器
消 化 管: 食道、胃、十二指腸、大腸
遠隔臓器: 肝、膵、肺、乳腺、膀胱、前立腺、皮膚
転  移: メラノームの肺転移

3)緑茶飲用による人に対するがん予防効果
 埼玉県民8552人を対象とした前向きコホート研究から明らかになった。
 1日10杯以上飲用している人は、3杯以下の人に比べてがんの発症年齢が遅れた。
 いろいろな研究報告から、我々は緑茶のがん予防有効量を1日10杯と決めた。
表2 緑茶多量飲用によるがん予防効果
1日当たりの緑茶平均飲用量
3杯以下 4杯以上9杯以下 10杯以上
女性
がん罹患平均年齢(歳)
67.0 ± 1.7 66.4 ± 1.3 74.3 ± 2.2
男性
がん罹患平均年齢(歳)
65.0 ± 1.5 67.2 ± 1.0 68.2 ± 1.1
(中地、今井 元埼玉県立がんセンター研究所)

4)緑茶によるがん予防の実施に向けて
 日常の緑茶飲用で10杯に不足する分を緑茶エキス粒で補うがん予防法を確立し、埼玉方式と呼んだ。健康なボランティアを対象とした研究から、緑茶に含まれるカフェインが胃部不快感をもたらすこともわかった。そのため、農業総合研究センター特産支所は新しい脱カフェイン法を開発し、低カフェイン緑茶エキス粒の生産を可能にした。
 埼玉方式は、最近アメリカでも、最も理想的な、また、実際に人に適したがん予防の方法だと評価されている。

5)原発がんの予防
 がんの発症は加齢に伴ったものであり、 高齢者、高危険群更には、一般健常者も、
がんの予防を心がけなければならない。緑茶の飲用は、個人個人が、がん予防の取り組みができる第一歩である。

6)がん治療後のがん予防
 医療技術の進歩によって、がんは治る病気となってきた。しかし、がん既往者はその後に生じるであろう再発、二次原発がんの発症や転移などに対し不安を募らせている。 我々は臨床医と共同で、まず再発予防の臨床試験を緑茶飲用で始めている。

まとめ
 緑茶は飲み物であるため、がん予防薬より広い適応範囲を備えている。我々はこれを「緑茶による二段階のがん予防」と呼び、国内外に広めている。緑茶によるがん予防は誰もが始められるがん予防である。
図 緑茶によるがん予防
研究発表者 
 藤木博太(徳島文理大学副学長), 菅沼雅美(埼玉県立がんセンター)
 松山 悟(佐賀医科大学), 宮崎耕治(佐賀医科大学)
 今井一枝(放射線影響研究所), 中地 敬(放射線影響研究所)